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デザインとエンジニアリングを横断するCreative Technologistの価値とは

こんにちは、Accenture Song DesignにてCreative Technologistとして働いている澤海(そうみ)と申します。

アクセンチュアには「やりたい!」と声を上げれば誰かが拾ってくれて全力で応援してくれる風土があります。僕が以前から持っていた「Creative Technologistという働き方を広めたい!」という気持ちを色々なところで話していたところ、今回この記事執筆の機会を頂きました。

Creative Technologistとはどういったものなのか、なるべく多くの人に伝わるようにご紹介したいと思います。


Creative Technology ってなに?

Accenture Song DesignにおけるUXエンジニアリングやデザインエンジニアリングの呼称がCreative Technologyです。このスキルを持つメンバーはCreative Technologistと呼ばれていて、同様にUXエンジニア、デザインエンジニアと捉えて頂いて問題ないです。

アクセンチュア ソングにおいては「主にUI/UXのデザインからフロントエンドまでをカバーする人材」を想定していますが、実際にCreative Technologistが担当する領域は広く、「これができたらCreative Technologist」というような明確な基準は存在しません。

デザインとエンジニアリングの横断領域において従来の領域概念に囚われず柔軟に専門知識を深め、デザインの上流フェーズにおいてはテクノロジー基点の発想で力強くクリエイティブを牽引し、実装に向けた下流フェーズにおいてはエンジニアへクリエイティブのバトンを渡すために伴走する。

この姿勢こそが最も求められる資質であり、これを体現するCreative Technologistとは「クリエイティブの牽引者であり伴走者」なのです。

Creative Technologistの「価値」とは?

Creative Technologyはデザインとエンジニアリングの横断領域に位置するという事は前項で述べました。では、なぜその領域を横断した役割が必要なのでしょうか?

それは、テクノロジーやユーザーの成熟によりデザインとエンジニアリングが高度に融合した体験が求められるようになった一方、それぞれの領域も拡大し続けており、他方の領域を十分に理解する事が難しくなってきているからです。

具体的には何が問題なのか?デザイナー、エンジニアそれぞれの視点で、少し極端な例を交えて説明します。

例えば、あるエネルギー企業において新たなクリーンエナジー事業施策を考えるプロジェクトがあったとしましょう。この時の提案として「太陽光発電用の人工衛星を打ち上げ、無線送電によってクリーンなエネルギーを地球に供給する」という提案はどうでしょうか?おそらくそんな提案をするデザイナーは居ないでしょう。なぜなら、(2023年現在)それが技術的に困難である事は分かっているからです(*1)。
*1 他にも費用面、法律面等様々な側面で困難ではありますが、ここでは説明のため技術面だけ取り上げています。

例えば、ある大手企業のブランディング施策として、全く新しいユーザー体験のアプリ提案を求められたとしましょう。この時のアプリ実装として「安定性、機能性を優先してSDKやライブラリのサンプルをほぼ流用してフロントエンドを作る」という方針はどうでしょうか?テーマを考えれば、どんなエンジニアもそんな実装はしないでしょう。なぜなら、それでは顧客が求めているユーザー体験にならないであろうと想像出来るからです(*2)。
*2 サンプルをそのまま使っても問題ないケースもありますが、ここでは顧客が求めている体験とサンプルがマッチしていなかったと想定してください。

これらの例では誰が見ても明らかに不可能である提案、間違った方針であると判断できますが、実際のプロジェクトではそれぞれの領域でもっと専門的で複雑な判断が必要になる事があります。

これらは、当然デザイナー/エンジニア間の緊密なコミュニケーションや、お互いの領域を学ぶ事でも解決はできますが、前述の通りデザインもエンジニアリングも領域が広く専門性も高いのでコミュニケーションコストが高くなりがちで、まして自身の専門領域を深めながらさらに他方の領域を学ぶ事は難しいのが現状です。

ここでそれぞれの領域を横断するCreative Technologistの力が必要になります。

Creative Technologistがチームにいる事により、デザイナー/エンジニア間のコミュニケーションコストが大幅に減るだけでなく、上流で描く理想の体験をより洗練して最終アウトプットに近づける事が可能になり、ユーザーにより良い体験を届ける事ができるようになるのです。

アクセンチュア ソングにおけるCreative Technologistの役割は?

アクセンチュアはコンサルティングファームですが、コンサルタントは元よりマーケターやデザイナー等様々な人材が所属しており、密なコラボレーションが求められます。そのためCreative Technologistも広く横断的に、複数の領域をカバーすることが求められます。

事例1: 生成AIを使用したウェブサービスのPOC

ChatGPTをはじめとする生成AIを使用してどのような価値が提供できるか、PoCを行いつつウェブサービスの検討をするプロジェクトにプロトタイプ作成のロールで参画しました。

Creative Technologistの僕がチーム内にいる事でデザインの中だけでプロトタイプ検討まで完結できるので、仕様があまり決まっていない構造検討の段階でも動作プロトタイプを作り始める事ができ、デザインとプロトタイプによる検討を同時並行で進める事ができました。

また、このプロジェクトではデザインに当たって一部AI自体やそのプログラムに対する知識が必要になり、その際に解釈の仕方や参考文献、具体的なアイディアをデザインチームに提供する事によってデザインチームの理解を深め、初動を早める事ができました。

事例2: Salesforceを使用したECサイト

Salesforce Commerce Cloud(以下SFCC)を用いてECサイトを構築するプロジェクトに、顧客が最終的に使うフロントエンドの検討をするというロールでジョインしました。

このプロジェクトでもプロトタイプを作成したのですが、SFCCの環境上にある程度実際に動作する形で構築する事により、デザインチームはもとよりお客様にもより具体的なイメージを持って検討を進めてもらう事ができました。

また、実際にSFCC上で動作するプログラムなのでそのまま本実装に使用できる部分も多く、エンジニアリング側の負荷を軽減しつつデザインの意図した表現を100%実際のプロダクトに乗せる事ができました。

その他の事例

僕はまだ社歴が浅いので自分が関わった事例は上記の2件だけですが、他にもCreative Technologistが活躍した事例として以下のようなものがあります。

  1. デザインシステム構築

    • 複雑なデザインシステムの更新を効率化するため、デザイナーの要望に沿った独自Figmaプラグインを作成

  2.  フィジカルなプロトタイピング

    •  Raspberry PIを使い、オフィス内のディスプレイを用いてインタラクティブな展示コンテンツの作成

どういった人材がCreative Technologistに向いている?

Creative Technologistはデザインとエンジニアリング双方に対して充分な知識が求められる事から、エンジニア、デザイナーどちらかを起点としてスタートするキャリアが多いかと思います。

一方でそういった境界は最初からなく、お客様の期待に応え続けていくうちに、または自分の興味の赴くままに、自然とスキルが身についた…というキャリアも考えられます。

もしかしたら、皆さんも自分では気づかないうちにCreative Technologyとしての素質を獲得しているかもしれません。

その「価値」をアクセンチュア ソングで活かしませんか

Creative Technologistという役割はデザインとエンジニアリングの中間領域にあるため、悪く言うと「どっちつかずの器用貧乏」と捉える事もできてしまいます。僕も長年それは悩んでいました。

しかし、昨今我々が提供するべきサービスはより高度化/複雑化してきており、その中でより優れた体験を提供するためにはデザイン/エンジニアリング双方の知見が必要になるケースが増加しています。その一方でそれぞれの専門領域は拡大し続けており、それに伴って学習コストも増加してきています。

そういった環境の中で、「どちらかの専門家」という立場では他方の領域を十分に理解できず、双方の知識を使うべき場面において十分な知識を引き出せない場合があります。

このような場面においてCreative Technologistの中途半端さはむしろ「価値」であり、Accenture Songではそういった人材を求めています。

あなたの能力にはあなたが思っている以上の価値があるかもしれません。本記事を見て共感頂いた方、少しでも興味を持たれた方、ぜひアクセンチュア ソングでご一緒しましょう。

澤海 晃 – Akira Soumi
Creative Technologist
大学在学中に実習課題として出たAdobe Flash (現Animate)を使ったインタラクティブプロトタイプ作成に興味を持ち、没頭。大学卒業後京都のUXデザイン事務所に就職し、様々なユーザー体験のインタラクティブデモやプロトタイプの作成に従事する。領域に囚われずUnity、Web、クラウド等、デザインしたUXを表現するために必要なスキルを追いかけ、磨き続け16年勤務。デザインとエンジニアリングの領域での更なるステップアップを求めて2023年にアクセンチュア ソングに参画。関西オフィス所属。

Instagramアカウントでスタジオの様子をお届けしています。ぜひアカウントに遊びにきてください!: @song.design.japan

アクセンチュア ソングではデザイナーの方の採用も積極的に行っています。