Hello! We are Fjord Tokyo.
皆さん、こんにちは。アクセンチュア インタラクティブのデザインスタジオFjord Tokyoです。この度、2021年からnoteにて公式ブログを開設することになりました。初回となる今回の記事では、Fjord Tokyoの自己紹介とデザインに対する想い、そしてこのブログを始める理由についてお話ししたいと思います。
私たちが信じているデザインの可能性を皆さんと共有することで、日本のデザイン業界を共に盛り上げていければという気持ちで書いていきます。
それでは、はじめていきます。
そもそもFjord(フィヨルド)って?
Fjord Tokyoの自己紹介をする前に、その母体となっているFjordという組織について簡単にご紹介したいと思います。
Fjordは今から20年前の2001年にロンドンで創業されたデザインスタジオです。なぜ「入り江」を意味する“Fjord”という名前なのか。それは「世界中を繋ぐもの」を意味する「水」と「水が生み出す美しいもの」という発想から来ているそう。世界を繋げるという壮大な想いの一方で、創業者が「諸説ある」と話しているのもFjordのカルチャーを表すエピソードです。
その後、ヨーロッパ全域とアメリカ、そしてアジア各国にも展開し、「デザインの価値をビジネスでも還元して、より大きなインパクトを」と、2013年にアクセンチュアの仲間入りをしました。現在では、世界33箇所にスタジオ拠点があり、1,200人以上のデザイナーが在籍しています。
世界中で活躍するデザイナーたちを1つに繋げているのが、"We design for human impact. ”という信念です。様々な人種、国籍、スキルなど、多様性に溢れたデザイナーたちが「人々の生活を良くするんだ」と、この信念を共通項としてチームを組み、日々デザインに取り組んでいます。
Fjordが考えるデザインとは
Fjordが考えるデザインとはいわゆるビジュアルデザインだけに留まりません。デザインには、あらゆる対象の間にあるギャップをつなげることで、その対象同士の関係性を築き、包括的な体験を生み出す力があると考えています。
例えば、テクノロジーと人々の生活のギャップ。テクノロジーの進化は私たちの生活を急速に変化させようとしますが、社会や人々はテクノロジーほど早くは変化できません。その結果、両者の間にギャップが生まれてしまいます。
そのギャップをつなぐのがデザインの役割です。生活者視点でニーズを捉え、それをテクノロジーと結びつけることで、人々の生活の文脈の中にテクノロジーを溶け込ませる。そして、テクノロジーは優れた体験を構成する重要なピースとして機能していきます。
それは例えるなら「傘の柄をどうしようと考えるのではなく、雨が降っているのならば傘を作ろう」という行為。それを私たちはデザインと呼んでいます。
Fjord がTokyoに誕生した理由
そんなFjordは、2019年11月11日にFjord Tokyoを開設しました。なぜこのタイミングで東京なのか?それは日本企業が直面するチャレンジに対して、デザインの持つ可能性を信じているからに他なりません。
日本企業のチャレンジ #1 創造的アウトプット
"日本には素晴らしい技術がある”。こんなフレーズを聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。これは数字上も間違っていません。日本貿易振興機構(ジェトロ)のレポートによると、人口当たりの特許出願件数は世界で1位であり、またその数だけを比べても世界で3位にランキングしています。日本に世界最高レベルの技術が存在しているのは間違い無いのです。
一方で、そんな技術力の高さを最大限に活かしきれているとは言い難い状況でもあります。例えば、各国のイノベーション能力や成果を様々な指標で分析・評価するGlobal Innovation Indexによると、創造的アウトプットの項目では日本は世界で31位(2018年)と低迷しているのが現状です。
日本企業のチャレンジ #2 包括的な体験価値の設計
製品・サービスはコモディティ化が進み、市場にはプロダクトが溢れています。その結果、企業は機能の優劣だけでは競争優位を築くことは難しくなりました。また、顧客の価値観やライフスタイルはどんどん多様化し、画一的なプロダクトでは個々の欲求を満たすことが難しくなっています。
そんな社会変化は体験価値の重要性を今まで以上に押し上げました。「いまや顧客体験が問われる」と、もう何度聞いたか数え切れないという方も多いはず。 業界や業種を問わず、企業と顧客はプロダクト単位ではなく、体験という長いジャーニーの中で様々なタッチポイントを通じて関係性を築いていくことが求められています。
しかし、日本が世界に誇るプロダクトを思い浮かべるとどうでしょう。“Made in Japan Quality”と称賛されるのはほとんどがプロダクト単位で、1つの包括的な体験が評価されているケースは少ないのではないでしょうか。世界の名だたるブランドが実は日本の工場で作られた部品を使っていることが多いのは、この典型的な例だと言えます。
つまり、高い技術力がありプロダクト単位では素晴らしい“Made in Japanブランド”を築いているのにも関わらず、それを人の生活における体験価値へと昇華させきれていない。一昔前は家の中も日々愛用するアイテムも、日本ブランドのものが多かったかもしれませんが、今はどうでしょう。実際、スマホ・ソフトウェア・車・洋服など、みなさんが毎日使うもののどれほどが日本のものかと見ると、そんなに多くはないのではないでしょうか。
技術革新 + 生活者体験 = Purpose-led innovation
日本に暮らす身として、これは非常にもったいない。だからこそ、デザインによって、隠れている優れたプロダクトの価値を押し上げたり、最近元気のないブランドに新たな息吹を吹き込んだり、とにかく私たちの生活をより良いものにしたいと思っています。
たとえそれが、個人単位ではささやかな生活の変化に見えたとしても、一人一人のポジティブな感情の積み重ねこそが、次の時代の“Made in Japan ブランド”を形作っていく。これまでも不可能を可能にする技術の力は、日々の日常へと溶け込み、私たちの生活を次のレベルへと押し上げ、笑顔や安心、興奮などの感情を生み出してきました。そして、それがブランドの礎を形作っています。
だからもしいま、技術はあるのに十分に評価されていないと感じているのなら、そこに足りないのは、私たちの生活がどう良くなるのかを生活者視点で考えていくことではないでしょうか。
私たちFjordの信念"We design for human impact. ”を実行する為に東京にオフィスを開設しました。それはつまり、日本企業がもともと得意としている技術革新に対して、生活者の視点を掛け合わせ、本当に人々の生活にインパクトを与えるような意味のあるイノベーション(Purpose-led Innovation)を起こすということ。
かつてのように“Made in Japan”をもう一度世界に誇れるように。そんな想いを持って、お客様企業と課題解決に取り組んでいます。
Fjord Tokyoのメンバー
こんな壮大なビジョンを遂行する為にはチームにあらゆるスキルを持ったメンバーが必要です。私たち自身の生活をより良くするサービス・体験を日々創造するのはもちろんのこと、それだけでなく、企業を動かし実際にインパクトを世の中に届けていかなければいけません。
その為に、Service Designer, Interaction Designer, Design Researcher, Visual Designer, Brand Designer, Product Designer, Creative Technologist, Business Designerなど様々なスキルを持ったメンバーがFjord Tokyoには所属しています。
Fjord Tokyoがブログをはじめます
そんなFjord Tokyoがブログをはじめます。その名も「Design Voice by Fjord Tokyo」。デザイン(Design)について私たちの声(Voice)を上げるというシンプルな想いを込めています。デザインの価値に対しての理解の解像度を少しでも上げてもらうことのできるメディアにしていく予定です。
その為に、多面的な情報発信にも力を入れていきます。上述した職種の種類が表すように、一口に「デザイン」と言ってもいろいろな領域が存在します。それぞれの領域に精通したデザイナーがいるからこそ、深く且つ多面的にデザインを捉えられるブログにしていきたいと思っています。
これからよろしくお願いします
Fjord Tokyoについて少しでも興味を持っていただけたらぜひフォローいただけると嬉しいです!これから私たちの考えや視点を記事に載せて発信していくので、よろしくお願いします。
次回はFjord Trends 2021についてご紹介します。Fjord Trendsとは、世界中のFjordメンバーが各国の知見を集結させ、ビジネス・デザイン・テクノロジーの未来を予測するレポートのこと。2008年より毎年発表していて、今年で13年目になりました。
Fjord Trends 2021のテーマは"Mapping out the new territory"。人々や社会の価値観が大きく変化した2020年を受けて、2021年での個人や企業の行動こそが21世紀の命運を決定づけると打ち出しています。具体的にどんなトレンドがあるか、次回の記事で詳しくご紹介していきますね。
それでは、これからよろしくお願いいたします!